18505人が本棚に入れています
本棚に追加
――――。
「はあ....」
江原は水道を全開にして顔を洗い流す。顔を見上げて鏡を確認すると、自分の顔は死んだように憔悴している。溜め息は止まらなかった。
すると突然自分の携帯電話から音楽が流れ出し、江原は寿命が縮まるほど驚いた。手に付着した雫を振り払うと、ポケットから携帯電話を引っ張り出して通話に応じた。古川からだった。
「何だよ?」
『さっき銃声がしたけど、中で何かあった?』
古川の声は焦っていた。銃声を聞いて三人を心配しているのだろう。
「何でも無いから心配すんな。すぐ戻るからさ」
江原は古川の応答がある前に通話を切って携帯電話を閉じる。自分でもあまりに冷たい返答だと思ったが、苛立ちがそうさせるから仕方無いと悔いた。
その時だった。銃声がトイレの外から聞こえ、同時に井手口の怒声が微かに聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!