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江原は走りながらも内側から激しく叩かれるドアを何度か見返した。ドアは薄い板を数十枚重ねて出来ているモダンなものである。
板が六人の圧力で少しずつ剥がれ落ちて行くのを見た江原は、よく利用するこのファミレスを恨んだ。ドアの耐久性にも時間がある。江原は禁煙席の二人の所へ走った。
「し、下野!井手口!」
下野と井手口は呼ばれた方向を見ると、江原が息を切らしながら走って来た。
「に、逃げよう!早く!」
「とりあえず落ち着けって。何があったよ?」
下野が江原の肩を叩きながら聞く。
「奴らがたくさん!」
下野の顔が険しく変わる。肩どころか頭を叩いた。
「この疫病神が!」
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