18505人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあいいや。ファミレスはここでサヨナラしよう」
下野と対照的に井手口は二人をまとめようとする。
「オッサン、アンタも....」
その声は届かない。男はゆっくりと立ち上がると、懐から新たなナイフを抜いた。三人は黙ったまま銃を男に向けて構えた。
「死ね!!」
男はナイフを振り回しながら、最後のあがきをするかの如く、三人に迫った。しかし三人とも引き金に掛かった人差し指が動かない。
生きた人間を殺すという実感に恐怖でおののき、殺せない。
「くっそぉ!!」
江原が向かって来た男の胸を靴底で蹴飛ばし、もう一度床にへばらせた。
「くそっ....」
男はどこにそんな体力があるのか、もう一度自力で立ち上がろうとしている。
バアアン!!
三人の肩が揺れる。確認は取れないが、同時にトイレのドアが破られたのが音で分かった。
最初のコメントを投稿しよう!