ゴーストタウン

27/31
前へ
/569ページ
次へ
喫煙席の方向からは木片を踏みにじる足音が交差して聞こえて来る。まもなく死者達は四人を見付けるだろう。 三人はドアが破られた音を聞いた時には、襲って来る男を無視して喫煙室と禁煙席の間にある出口まで走っていた。黒装束の男も三人の後を足を引きずりながら追う。 三人は走って来る死者を横目で見流すと、ドアを開けて外に出た。一番乗りで外に出た井手口が銃を向けて周囲を警戒する。死者に追い付かれる前に下野がドアを閉めると、江原が何かに気付いてポケットを物色し始めた。 「そのまま閉めてろ!」 「はあ!?」 下野は訳も分からず、手にしていたショットガンを地面に下ろして両手でドアを押さえ付けにかかる。同時に死者達がドアに辿り着きいていた。ガラス越しに映る生者を喰らうべく、体を押し付けてドアをこじ開けようと躍起になる。
/569ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18505人が本棚に入れています
本棚に追加