18505人が本棚に入れています
本棚に追加
六人の死者の重圧は大きく、下野の押さえ付けるドアは少しずつ開き始める。そこへ井手口が体当たりをするようにして加わり、ドアを完全に閉め切った。
「あった!」
江原が店内で見つけたファミレスの鍵を取り出し、入り口の鍵を探し始めた。
「これだ!」
江原は二人が押さえ付けるドアに屈み込み、鍵穴に鍵を挿してひねった。カチリと音がして鍵が掛かる。
三人はドアから離れて一息付いた。それでも餌を前にした死者達は内側から鍵が開く事も知らず、食事の後で血だらけの手と顔をドアのガラスに押し付けるばかりだった。
その後方では、黒装束の男が足を引きずりながら死者に気付かれないように忍び足で移動していた。男は死者の集団に気付かれないようにと、レジを抜け、厨房へと逃げようとしているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!