ゴーストタウン

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「うぁー。酷い...」 「なら見なきゃいいだろ」 井手口が江原の肩を掴んで視線を反らさせる。 「それにしても....あいつら何なんだよ?」 江原がもう一度店内を見ると、トイレで死んでいた女性ウェイターがやって来て食事に加わった。その光景に江原は井手口の手を借りずに、反射的に目を反らしていた。 「古川は?」 下野の声に、二人は目と鼻の先にある戦車へ振り返った。確かに見渡す限り古川の姿は見えない。 戦車に走り、三人は戦車の車内や周囲をくまなく探すが、古川の姿はどこにも無かった。車内で見付かった軽機関銃は戦車の上の自衛官の死体の近くに置いたままだ。 「あのバカが」 井手口が携帯電話をポケットから引っ張り出し、アドレス帳を辿って古川に電話を掛けた。
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