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何度か蹴り続けていると、ガギッ!という、耳障りな金属音がしてドアノブが外れる。
「よし....」
トカレフ拳銃を両手で構え、古川は爪先でドアを押し開けた。ドアの先には、マンションの7階通路だった。四軒の部屋が見て取れるが、有村の家は手前から三番目の部屋だ。
有村の在宅を気にした古川は携帯電話を引っ張り出した。しかし有村に電話して、十回ほどコールしたが誰かが出る様子は無い。しばらくして留守番電話に繋がってしまった。
『お前の家の近くに居る。いるなら電話しろよ』
留守番電話にそう話した瞬間、微かにではあるが、部屋から物音と話し声が確かに聞こえた。古川は壁に背中を押し付けて室内を警戒した。
物音が無くなったのを確認し、古川は早鐘を打つ左胸を押さえながら立ち上がり、ドアノブに手を掛けた。
構わず思い切りドアを引く。しかしドアは金属音を立てたあと動きを止めた。
「え?」
ドアにはチェーンロックがかけられていた。やはり誰かがいるのだ。
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