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2人は俊哉の部屋に入り、腰を下ろした。
俊哉の部屋は綺麗とは言えなかった。
制服こそきちんと掛けてあるものの、バスケット関係の雑誌や漫画がそこらへんに散らばっていた。
「相変わらず汚いね。」
「ああ。高校生なんだから自分の部屋ぐらい自分で掃除しろって言われたけど、なかなかやる気出なくて。
なんだかんだ言ってたまに掃除してくれるしさ。」
「そっか。はい。これお土産。忙しくて大した物作れなかったけど…。」
「何?手作り?
麻耶の作ったものはうまいからなぁ。」
俊哉が満面の笑みで麻耶から渡された箱を開けた。
箱の中には色々ないろのプリンが入っていた。
「プリンじゃん!うまそう!これ何?」
「それはカボチャプリンだよ。」
「これは?」
「それは抹茶。」
「スゲー!!どれにしよう。」
「本当に甘いもの好きだよね。」
俊哉は子供のように目を輝かせ、プリンを選んでいる。麻耶の言葉も耳に入らないようだ。
-もう。そんなプリンぐらいで。
でも、喜んでもらえて良かった。
「うー!やっぱり普通のプリン!」
「そう言うと思って1つ余計に入れておいたから、後で違うのも食べてみて。」
「さすが麻耶!ありがてー!でも、全部食ってみたい!」
「また作って来るからさ。
お母さんとお父さんとお兄さんで仲良く食べてよ。」
「絶対だからな!」
「はいはい。」
「うめー!」
こんな時間が麻耶にとっては、新しい環境や部活の疲れを吹き飛ばしてくれる。
他の何にも代え難い位幸せな時間だった。
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