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帰り道、カズが何を話しても麻耶からまともな答えは返ってこない。
「麻耶?」
「うん。」
「明日の授業なんだっけ?」
「うん。」
-ダメだこりゃ。2人の仲には口出さないようにしようと思ってたけど…。
「俊哉と何があったんだよ?」
「うん…!?
え?何で?」
「今帰りの電車の中だぞ。わかってる?」
「えっ…。本当だ。電車乗ってる。何で?部活は?」
「とっくに終わったって。
麻耶、今日朝からずっと『うん。』しか言ってなかったぞ。」
「うそ?まさか…。」
麻耶は冗談だと思って笑おうとしたが、今日1日の記憶が全くなく、笑うことは出来なかった。
「俊哉と何かあったんだろ?
話してみろよ。ちょっと楽になるかもよ。」
「う、う…ん。」
麻耶は話すか迷っていた。少なからずカズにも関係があることなので、話したらカズが気にするのはわかっていたから。
「あのね…」
麻耶が口を開いたその時、電車は麻耶達が降りる駅に滑り込んだ。
2人は慌ただしく電車を降り、改札を出た。
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