142人が本棚に入れています
本棚に追加
通い慣れたはずの通学路だったが、一生家に着かないのでは?と思う程長く感じる。
沈黙が重い。
「あの…」
「何?」
「今日はどうして?」
「…。」
「何で怒ってるの?」
「…。」
「俊哉!」
「お前さぁ、人の話は最後までちゃんと聞けよ。」
「どういうこと?」
「オレはまだ途中だったんだよ。『オレは止めない。って言いたいけど、そんなの困る。』って言おうとしたの。
それをさぁ、最初の一言だけ聞いて怒って出て行きやがって。」
「うそ…。」
「ウソなんかつかねーよ!
その後も何も連絡してこねーし。」
「だって…。
ごめん。」
「お前が他の奴と付き合って良いって思う訳ないだろ。」
「でも、会えなくても平気そうだし、そう言ってたじゃん。」
「忙しい中で無理して会ったら、オレも麻耶も余計疲れるだろ?
それより、ゆっくり会える時間を大事にしたかったんだよ。」
「それでもあたしは寂しいな…。」
「うん。来れる時は迎えに来るよ。」
「え?」
「麻耶の気持ちわかったし、カズと麻耶が一緒に帰って来るの見たら…イヤだったんだよ。なんとなく。
カズが『オレが麻耶の事送ってやろうか?』って言うからそんなに考えずに頼んじゃったんだけどさ…。」
「俊哉…。」
「毎日は無理だけどな。
おっ、着いたぞ。」
「俊哉ありがとう!
ワガママ言ってごめんね。」
「いいよ。じゃあな。」
「うん。ありがとう。」
最初のコメントを投稿しよう!