宮下伸也は車を走らせた

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車で10分ほど走るとお目当ての店にたどりついた。うちの近所に1ヶ月ほど前にオープンしたハンバーガー屋で、一見地味な店だがここのハンバーガーはそれはもううまいらしいと友人の笹野から聞いたので来てみた。中に入るとカウンターに髭づらのマスターが立っていた。「いらっしゃいませ」人の良さそうな人だった。「何がオススメですか?」と聞くと「チーズバーガーですかね」と答えたのでチーズバーガーとビールを注文、食べてみると確かにうまい。噛みしめると肉汁が口に溢れる。大満足で食べ終えるとマスターに話しをした。「おいしいですね、なんのお肉を使っているんですか?」「それは秘密ですけど色々なお肉を混ぜていますよ」僕は何の肉か気になった。普通の牛肉や豚肉だけでこんな味が出るだろうか?きっと何か珍しい肉でもいれているに違いない「どうしても教えて頂けませんか」マスターは少し悩んだあと「そんなに知りたければ…奥の方にどうぞ。」マスターに連れられるまま厨房にいくとそこにはまな板やガス台に混じってひき肉を作る機械があった。「うちはひきたての肉をつかってるから美味しいんですよ」なるほどそういう事かそれなら確かに他の店ではなかなか真似できないだろう。納得しつつなんとなくひき肉を作る機械を上から見ると、ミンチに埋もれたなにか黒いものがあった「なんだろ、これ?」ズルっと引き抜くとそれは見覚えのある友人笹野の黒いメガネだった。僕はここの肉の正体を知った。
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