18人が本棚に入れています
本棚に追加
HRを告げるチャイムを机に頭を預けて聞いていた。
僕の席は一番奥の窓際である。開いている窓から入ってくる暖かい風に辟易しながら、しかし多少の秋を風に感じていた。
チャイムが終わりしばらくすると、担任の能登が教室入ってくる。
「荒木と新藤はまた遅刻か。しょうがねえなぁ」
教室に入るなり、文句を言い始めた。この人は相変わらず、物事の順序を考えて話すということをしない。
「お、忘れてた! おはよう」
本来なら、その挨拶を真っ先にするべきだろう。
挨拶を終えた能登が連絡事項伝え始めようとした時、教室の後ろの戸が遠慮しがちに開いた。もちろん、戸が遠慮したわけではない。
「お前らなぁ、遅刻すんなよ。そろそろ指導しなくちゃならないだろ」
能登の言葉に、教室に入ってきたであろう荒木と新藤の言い訳を、目を閉じながら聞いていると、前の席の秋山から声を掛けられた。
「シュウちゃん、ちゃんと話聞いとかないと怒られるよ」
最初のコメントを投稿しよう!