18人が本棚に入れています
本棚に追加
昼休み。
僕は購買で買ってきたパンを食べていた。
学食が嫌いな訳ではない。人混みが苦手なのだ。
小学校の頃、全校集会があると気分が悪くなった。ざわつく人々、マイクを中継して届く声の振動。その全てが僕の体調を狂わせた。
中学、高校と次第にマシにはなっていったが、それでも人混みは苦手だった。
だから、学食はできることなら行きたくない場所なのである。
そんな僕のささやかなランチを邪魔する視線。
「さっきから視線が気になるんだけど……」
たまらず僕は前の席の秋山に聞く。
秋山は椅子の背もたれを抱え込むようにして座っていた。スカートとかは大丈夫なのだろうか。
「シュウちゃん、それで足りるの? そんな軽いご飯だといつか倒れちゃうぞ」
僕の余計な心配など知る由もない秋山は、歯を見せながら笑って言った。
僕の机にいつのまにか置かれていた秋山の弁当を見る。
小さい弁当箱に沢山のおかずが入っていた。
「そういう秋山は重いメシだな。そんな栄養採ると太るぞ」
最初のコメントを投稿しよう!