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「こんな可愛らしいお弁当のどこが重いのさ!」
弁当箱の中身を見せながら抗議してくる。
「それ、何個め?」
僕は弁当箱から秋山へ視線を移しながら尋ねた。
「……2個め」
目を逸らして秋山は答えた。
「太るぞ」
「でもでも! 私、そんな太ってないでしょ?」
きっ、と僕を睨んで秋山は言い返す。
僕は、パックのミルクティを飲みながら、じっと秋山を見る。
秋山は、背は高くも低くもない。いわゆる平均。スタイルもサッカー部に入っている為か、太過ぎず、細過ぎず。髪は短かく、暗い茶髪。秋山曰く、地毛だそうだ。
入学当初、生活指導の先生と言い争っていたことを思い出す。
最終的には、秋山が子供の頃の写真、それに両親の証言で茶髪が地毛であることが証明された。
そんな回想に耽っていると秋山が、僕の目の前で手を振っている。
「なんだよ。目の中に誰かいるのか」
「いや、ぼーっとしてるからさ。ていうか怖いこと言わないでよ」
眉を寄せて秋山は言う。
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