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「で? どうなのさ」
寄せた眉をそのままに聞いてきた。
「え、何が?」
一瞬何のことだか分からなかったが、すぐに思い当たる。
「あー…カレーに生卵入れて食べるヤツの話? あれは確かに邪道だと思うよ」
「誰もそんな話はしてないでしょ! あからさまに誤魔化さないでよ!」
忘れていた。秋山に冗談は通じないんだった。
実際、秋山はあれだけ食べているのに体型にあまり変化は見られない。
横に然り、縦に然り。きっと部活で食べた分、運動しているせいだろう。
僕が答えあぐねていると、秋山は、しきりに教室の端の方に視線を送っているのに気づいた。正確には戸の近くにいる女子のグループを見ていた。
僕の視線に気付いたのか、秋山は慌ててこちらに視線を戻す。
数秒間の沈黙。そして秋山の深呼吸。何が始まるのだろう。
そう思っていると、意を決したように秋山は口を開いた。
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