中央世界と能力者Ⅱ

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するとシスターは朱へ微笑んだ。 「そうですか。【あけし】君も疾登さんもお久しぶりです。」 それを聞いた疾登がシスターに一瞥して言った。 「お久しぶりです。それとシスター、こいつは【あかし】です。」 「あっ!ごめんなさい!朱君。気を悪くさせてしまいましたね。」 少し焦ったようにシスターが朱の手を握り謝っている。しかし当の本人は黙って俯いてしまっている。しかも何故か直立姿勢だ。 「…い、いえ…その…大丈夫です…」 ブツブツと朱が答える。先程より顔が赤く見えるのはやはり気のせいなのだろうか。 それを見かねた陽香が少し笑いながら言う。 「シスター、朱困ってますよ」 「すいません。そうでした!お忙しいのに呼び止めてしまいましたね」 陽香の言葉にシスターは朱から手を離す。 「あっ…」 ちょっと名残惜しそうにした朱だったが誰も気付かなかったようだ。 「ではシスター…また」 「はい。あなた達に神の加護がありますよう」 シスターは胸から下げている十字架に祈り、三人と分かれた。 作戦室へと行く途中、朱が陽香におちょくられたのは言うまでもない。
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