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時刻6:40
中央世界 北部都市
亡霊が現れた――
その報告を陽香たちが受けたのは夜中だった
眠いとは思っていない。陽香たちはそこまで呑気でも素人でもない。
だがここまで相手の行動が早いとは思っていなかった。相手は焦っているのだろうか…
3人が輸送ヘリに乗り運ばれたのはある都市の広場だった。
広場の真ん中には噴水があり、さらにその噴水の真ん中には人魚の形を模した石像が立っている。
道路は石畳になっており、建物はレンガ造りだ。しかもどの建物にも玄関前と屋根に石像が立っている。広場からは蜘蛛の巣のように道が広がっており、中央を貫くように大通りが続いている。
都市全体が人工的だが息吹を感じる不思議な空間に包まれている。
中央世界 ロンジェロ
通称 芸術都市
それがこの都市の名前である。芸術都市と呼ばれているだけあって大通りの先には世界一の美術館がある。世界的に有名な芸術家を輩出しているのもこの都市だ。
「敵はどこにいるんだろ?」
陽香が聞く。
髪を横で2つに分けており、赤のラインが入っている白のズボンを履いている。上も白を基調にしたジャケットだ。
朱も似たような格好だが手袋をしている。
疾登は上にロングコートを羽織っている。
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