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梅雨入りしたというのに真夏を思わせる日が続き、朝からうんざりするような暑さだった。
その日、警察署の前に車を停めた女はフラフラとした足取りで中に入って行き、受付た警察官に呟く様に一言「子供を殺しました」と言うなり意識を失い倒れ込んだ。
警察が女の自宅を捜索したところ女児の遺体を発見。その後の司法解剖で直接の死因は絞殺による窒息死であるものの、女児の胃は空っぽで数日間食べ物を摂取していない形跡があり、死亡前にすでにかなり衰弱していた可能性が高い事がわかった。
[またも母親による虐待!][防げなかった悲劇!なぜ?!][児童相談所は事前に関与][育児放棄!母親失格!]
マスコミは大喜びで女を散々に責め立て、それを事前に防げなかった児童相談所も煽りをくらった。
女の家や女児のいた保育園周辺はマスコミでにぎやかになり、近隣住民や保育園の保護者、職員等はインタビューぜめにあった。
「以前から痣だらけで異常な程怪我が多く、虐待がある事は1年以上前からはっきりとわかっていました。何度もお母さんにお話したり子育て支援センターに相談に行くようすすめたりしながら同時に児童相談所に通報し事件を未然に防ぐ努力をしていたのですがこのような結果になって残念でなりません。最大限の努力はしてきたつもりですが、やはり保育園の立場からは出来る事に限界もあり、保護者に対する遠慮やためらいもあってあまり強く出る事も出来ませんでした。子供の事を一番に考えればそうも言っていられなかったのではないか、もっと何か出来たのではないかと後悔の気持ちでいっぱいです。」女児の通っていた保育園の園長のコメントはマスコミによって何度も流れ、世間は女児の悲劇に同情を寄せ、母親失格のこの女とまたもや無能ぶりをさらけ出した行政に憤りを覚えた。
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