第一章

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「どうもこうもない、俺は宿り木を探していた。」 「宿り木?」 「そうだ、そんな所へお前が現れた。」 そう言った新の眼がボンヤリと赤く光った。 「!!昨日の!?」 「お前はかなり自分を制御出来ない状態だったんでな。入り込むのに苦労はなかったよ。」 「な…何者なんだ、お前は!?」 「そんな事は関係ないだろう?今はお前なんだ。」 「何処に入り込みやがった!?勝手に他人の身体に!」 「おっと、追い出そうなんて考えない方がいいぞ?お前の身体の末端まで俺は行き渡っているんだ。下手をすると自分が死ぬ事になる。」 「さ…昨晩の殺人もお前の仕業か!?」 「あぁ…アイツか?殺戮は俺の生き甲斐だ。気にするな。」 「なんて奴だ!やってるのはコッチの身体なんだ!」 「心配するな、お前がやったなんて証拠はないんだ。痕跡さえ残していない。」 「そんな問題じゃない!」 「いい気になるなよ?あのままお前を封印してしまう事だって出来たんだ。お前を完全に乗っ取り自由自在に活動する事もな?」 傍から見れば何とも滑稽なやり取りであろう。 1人鏡に向かい1人2役を演じているように見える。
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