第一章

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そう言うと、それきりそれは何も言わなくなった。 1人芝居のようなやり取りが終わると、新は1人考え込んでしまった。 「あれはホントに俺の中にいるんだろうか…」 どれくらいそうしていただろうか… 突然携帯の呼び出しが鳴った。 着信を確認すると、恋人の美樹だった。 携帯を開き通話ボタンを押す。 「…はい、俺だけど。」 『会社休んだんだって!?具合悪いの?』 「い…いや、大したことないよ、大丈夫。」 『あー!まぁた昨日飲み過ぎたなぁ!?』 「…ま、まぁそんなとこかな…」 『まったくぅ!今日、仕事終わったらご飯行く約束してたのにどうすんの!?』 「ああ、大丈夫。夜までには治るから…」 『会社休んで、夜遊びに出ていいの?』 責める風の口振りだが、明らかに声が弾んでいる。 やはり、最愛の彼に会える事が嬉しいのだろう。 新もその声につられて気分を直した。 「OKだよ。じゃぁ、駅の改札に6時で。」 『解った、じゃね。』 携帯を切り、テーブルの上に放り投げる。 彼女の声にいくらか救われた新だが、問題は何も解決していない。 「さて…どうしたもんかな…」
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