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そう言うと、それきりそれは何も言わなくなった。
1人芝居のようなやり取りが終わると、新は1人考え込んでしまった。
「あれはホントに俺の中にいるんだろうか…」
どれくらいそうしていただろうか…
突然携帯の呼び出しが鳴った。
着信を確認すると、恋人の美樹だった。
携帯を開き通話ボタンを押す。
「…はい、俺だけど。」
『会社休んだんだって!?具合悪いの?』
「い…いや、大したことないよ、大丈夫。」
『あー!まぁた昨日飲み過ぎたなぁ!?』
「…ま、まぁそんなとこかな…」
『まったくぅ!今日、仕事終わったらご飯行く約束してたのにどうすんの!?』
「ああ、大丈夫。夜までには治るから…」
『会社休んで、夜遊びに出ていいの?』
責める風の口振りだが、明らかに声が弾んでいる。
やはり、最愛の彼に会える事が嬉しいのだろう。
新もその声につられて気分を直した。
「OKだよ。じゃぁ、駅の改札に6時で。」
『解った、じゃね。』
携帯を切り、テーブルの上に放り投げる。
彼女の声にいくらか救われた新だが、問題は何も解決していない。
「さて…どうしたもんかな…」
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