第一章

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結局夕方まで考え込んでしまった。 「ん?もうこんな…美樹に会う時間だ。」 朝からの一件で食事も採っていない。 立ち上がると少しフラつく。 柱に手をつき体を支えた。 「やっべ…」 冷蔵庫を覗き、何かないかとあさってみる。 どうせこれから美樹と食事なのでしっかり食べるつもりはないので、とりあえず繋ぎになるものを探す。 元々独身男性の冷蔵庫など、たいしたものなどある訳もないのだが… 結局探し当てたのは三角形のチーズ2ケだけだった。 赤い帯を引っ張り、アルミの包装を剥がし、口に放り込む。 丸1日ぶりの食料だ。 「うんめ…」 独り言を言いながら、もう1つも剥き噛り着いた。 両頬をリスのように膨らませながら、外出の準備にかかる。 電気はずっと点けていなかったので、暗がりに目が慣れていたこともあり点けない。 ごそごそと洗濯物の山の中から、綺麗目のシャツを引っ張り出し、袖を通した。 髪を確認しようと、洗面所へ… 洗面所へ行こうとして、ふと立ち止まった。 「鏡…見たくないな…」 朝の出来事があるので、躊躇した。
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