第一章

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台所へ方向を変え、流しの水道をひねった。 その水で頭を撫で付け、セットは済ます事にした。 時計を確認しておもてへ出る。 向かいの清瀬邸ではまだ警察官がうようよいる。 自覚が無いとはいえ、己の仕業と知ってしまった新は心持ちうつむき加減で前を通り過ぎた。 角を曲がると自然と早足になる。 早くこの場から遠退きたい… 通常駅までは15分程度なのだが、今日は異様に早く着いてしまった。 元々少し早めに着くつもりだったが、更に早く着いてしまった。 駅前は禁煙ゾーンなため、タバコも吸えない。 まわりを見渡し、ファーストフード店に入った。 ここも主に禁煙なのだが、隅の一画だけ喫煙できる席があるからだ。 カウンターでホットコーヒーを注文、受け取り席に着く。 ここからなら美樹が駅に来てもすぐに判る。 一口すすって後悔した。 「空きっ腹にブラックはきっついな…」 飲むのを諦め、胸ポケットからタバコをまさぐりだし火を着ける。 風向きだろうか、やたらと煙が目にしみる。 涙目になり、左手で拭ってみると視線の先には美樹が改札へ向かって歩いて行くのが見えた。 「あ、来たな。」
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