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そう、ここは駅の構内であるのを忘れていた。
1人ぶつぶつ言っていたと思ったら、いきなり大声を張り上げた男に周りの目は冷たい。
「あ…いやっ。」
『ククククッ、バカな奴だ。』
「お前のせいだろ!」
駅通路の端に寄り、ひそひそ声で会話を続ける。
『とにかく、小川とか言う奴は俺に任せておけ。』
「止めろ!止めてくれ!」
『……』
「おい!返事しろ!」
『…』
だんまりを決め込み何も反応がなくなった。
「どうしよう…」
美樹の事も気になったが、今は小川の命の心配が先だ。
嫌な奴だが殺す事はない。
ましてや、自分が手を降すなど…
「いや、俺じゃないんだけど…」
自分の考えに自分で否定した。
でも、世間から見たら明らかに自分だろう…
新は小川の行方を捜した。
「真っ直ぐ家に帰ったかな…」
「小川さんちは確か…」
遊びに行く様な間柄ではないので詳しい住所までは新も知らない。
ただ、以前の会話で大体の場所は把握していた。
新のアパートとは方角が少々違うが、今から追えば追い付くだろう。
駅前の交番の前を抜け、西通り商店街を抜けていく。
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