第一章

18/23
前へ
/29ページ
次へ
そう、ここは駅の構内であるのを忘れていた。 1人ぶつぶつ言っていたと思ったら、いきなり大声を張り上げた男に周りの目は冷たい。 「あ…いやっ。」 『ククククッ、バカな奴だ。』 「お前のせいだろ!」 駅通路の端に寄り、ひそひそ声で会話を続ける。 『とにかく、小川とか言う奴は俺に任せておけ。』 「止めろ!止めてくれ!」 『……』 「おい!返事しろ!」 『…』 だんまりを決め込み何も反応がなくなった。 「どうしよう…」 美樹の事も気になったが、今は小川の命の心配が先だ。 嫌な奴だが殺す事はない。 ましてや、自分が手を降すなど… 「いや、俺じゃないんだけど…」 自分の考えに自分で否定した。 でも、世間から見たら明らかに自分だろう… 新は小川の行方を捜した。 「真っ直ぐ家に帰ったかな…」 「小川さんちは確か…」 遊びに行く様な間柄ではないので詳しい住所までは新も知らない。 ただ、以前の会話で大体の場所は把握していた。 新のアパートとは方角が少々違うが、今から追えば追い付くだろう。 駅前の交番の前を抜け、西通り商店街を抜けていく。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加