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「俺の部屋だ…」
いつの間にか自分の部屋に戻っているようだ。
「はっ、小川さんは!?」
新は慌てた。
小川に追い付き、話し掛けようとしたあたりまでは覚えているが、その後の記憶が全くない。
じっと己の手を見つめる。
今回は血痕らしき物は付いていないようだ。
「おい!お前まさか小川さんを!」
誰もいない部屋で怒鳴り散らした。
勿論それは表向きの話で、相手はいる。
新の中に…
『案ずるな。お前が望んだ通りにしたまでだ。』
脳裏に直接響く、あの嫌な声が返ってきた。
「望んだって?俺が一体何を望んだって言うんだ!?」
『苦しんでいるのか?人間特有の罪悪感ってやつだな?』
「罪悪感?…って事はやっぱり殺したのか!?」
『勿論じゃないか。俺もお前に棲まわしてもらってるからな…手当たり次第と言う訳にも行くまいが。』
「なんて事を…」
『俺はお前の感情は手に取る様に解る。あの時お前は奴の言葉に逆上し、一瞬殺してやりたいと思ったはずだ。』
「殺したいだなんて…一瞬怒りは覚えたけど、殺すだなんて考えてない!」
『そう!その怒りこそ、殺意の始まりだよ。』
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