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あれから1ヶ月…
奴は全く現れなくなった。
新の中でじっと新の行動を見ているのだろうか…
新はと言うと、特に変わった所もなく毎日工場へ出勤し、普通に働く日々であった。
小川の件は、一時話題になったが今では誰1人彼の名を口にする者はいない。
小川の死体はあがらなかった。
奴が痕跡残さず消し去ったと言う事だ。
小川の家族は捜索願いを警察に出したが、事件性を認められない為書類のみ揃えて特に目立った動きはしていなかった。
小川は蒸発したと考えられた訳だ。
前の会社でリストラにあい、不満タラタラで今の工場で働いていたので、そう解釈された。
新はホッと胸を撫で下ろしたものだ。
その安堵にも、何時までも浸っていられない。
そう、奴との賭けはスタートしているのだ。
特に期限を切った訳ではないが、奴が痺れを切らさぬ内に決着をつけなければならない。
『しかし、どうやって…』
心の中で自問自答を繰り返す。
愛…
真実の愛…
言うのは容易いが、これを他者に示すとなると…
新は焦りさえ感じ始めていた。
『これは、かなりヤバい賭けなんじゃないか…』
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