第一章

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目を離したら何をされるか解らない。 新は恐怖でいっぱいだったが、その燃える目を見据えて離さなかった。 すると、燃える目を持つ不気味な生物は徐々に透けていき、次第に消えてなくなった。 完全に消えた瞬間はゾクッと背筋が震えた。 「…やっぱ飲み過ぎたかな…」 酔いもすっかり醒めてしまったのに、飲んだせいにしておこうと思い、そそくさと家路を急いだ。 アパートに着き、鍵を開けて部屋に入る。 散らかりたい放題の部屋の真ん中に万年床… 典型的な独身男性の部屋模様だ。 先程の出来事で酔いは醒めてしまったが、1日の疲れは当然あるわけで、男臭い煎餅布団に体を横たえると途端に寝息を立て始めた。 「スゥスゥ…」 部屋の明かりは消して寝たのだが、その夜の彼の部屋からは真っ赤な灯りが窓から洩れていた。 次の朝… 彼のアパートの向かいが、やけに騒がしい。 向かいはアパートの大家で清瀬と言う。 大きな屋敷で、今はリタイアしたがその昔は市議も務めた町の名手である。 パトカーが何台も来ていて、赤灯がチラチラと部屋の窓に映り込む。 「大家さんち、なんかあったかな?」
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