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目を離したら何をされるか解らない。
新は恐怖でいっぱいだったが、その燃える目を見据えて離さなかった。
すると、燃える目を持つ不気味な生物は徐々に透けていき、次第に消えてなくなった。
完全に消えた瞬間はゾクッと背筋が震えた。
「…やっぱ飲み過ぎたかな…」
酔いもすっかり醒めてしまったのに、飲んだせいにしておこうと思い、そそくさと家路を急いだ。
アパートに着き、鍵を開けて部屋に入る。
散らかりたい放題の部屋の真ん中に万年床…
典型的な独身男性の部屋模様だ。
先程の出来事で酔いは醒めてしまったが、1日の疲れは当然あるわけで、男臭い煎餅布団に体を横たえると途端に寝息を立て始めた。
「スゥスゥ…」
部屋の明かりは消して寝たのだが、その夜の彼の部屋からは真っ赤な灯りが窓から洩れていた。
次の朝…
彼のアパートの向かいが、やけに騒がしい。
向かいはアパートの大家で清瀬と言う。
大きな屋敷で、今はリタイアしたがその昔は市議も務めた町の名手である。
パトカーが何台も来ていて、赤灯がチラチラと部屋の窓に映り込む。
「大家さんち、なんかあったかな?」
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