6人が本棚に入れています
本棚に追加
窓をそっと開けて清瀬邸を覗き見た。
彼の部屋は2階でキッチンの小窓から様子が良く見える。
門を入ったすぐ先で、真っ赤に染まった衣服の男が倒れているのが見えた。
「殺人!?」
朝から見たくない物を見てしまったが、目を離せない状況のようだ。
遺体の周りで警官が現場をあちこち調べている。
更に奥の玄関では、大家の清瀬が刑事らしき人物と話しているのが見える。
「ほっ、大家さんじゃないんだ。」
最初は家主の清瀬が殺されたのかと思ったが、そうではないらしい。
安心した所で、ふと目に入った時計を見て、新は慌てた。
「うゎ!?やべっ、遅刻だ!」
事件現場に見入っているうちに、かなり時間が経ってしまったらしい。
窓を閉めようと延ばした手を見て、新は更に慌てた。
「え!?血?」
新の右手は真っ赤になっていた。
よく見ると、着ているTシャツもベッタリと血が着いている。
「なんだよこれ…」
しばし茫然と自分の姿を眺める。
そして、はっと気付いた。
「向かいの事件…俺かぁ!?」
血の気が引いた。
痛い所はないし、明らかに自分の血ではない。
おまけに向かいの事件…
最初のコメントを投稿しよう!