第一章

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窓をそっと開けて清瀬邸を覗き見た。 彼の部屋は2階でキッチンの小窓から様子が良く見える。 門を入ったすぐ先で、真っ赤に染まった衣服の男が倒れているのが見えた。 「殺人!?」 朝から見たくない物を見てしまったが、目を離せない状況のようだ。 遺体の周りで警官が現場をあちこち調べている。 更に奥の玄関では、大家の清瀬が刑事らしき人物と話しているのが見える。 「ほっ、大家さんじゃないんだ。」 最初は家主の清瀬が殺されたのかと思ったが、そうではないらしい。 安心した所で、ふと目に入った時計を見て、新は慌てた。 「うゎ!?やべっ、遅刻だ!」 事件現場に見入っているうちに、かなり時間が経ってしまったらしい。 窓を閉めようと延ばした手を見て、新は更に慌てた。 「え!?血?」 新の右手は真っ赤になっていた。 よく見ると、着ているTシャツもベッタリと血が着いている。 「なんだよこれ…」 しばし茫然と自分の姿を眺める。 そして、はっと気付いた。 「向かいの事件…俺かぁ!?」 血の気が引いた。 痛い所はないし、明らかに自分の血ではない。 おまけに向かいの事件…
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