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気分が悪くなったのは事実だが、それよりも事件自体の方が気になった。
「本当に俺がやったのか?…」
恐る恐るもう一度部屋を出て、今度は家の前の黄色いテープが張り巡らされている所まで行ってみた。
朝の通勤時間帯だというのに、野次馬の数が凄い。
「みんな会社や学校はいいのかな…」
そんな事を思いながら、人垣を掻き分けて最前列に辿り着いた。
玄関の所にいた清瀬がこちらを見つけ近寄ってきた。
「秋津君、朝から騒がしくて済まないねぇ。」
「いえ、何があったんですか?」
「いや、見ての通りだよ。朝起きて新聞取りに出てみたら、門の通路にこの人が倒れてて…」
「誰なんです?」
「知らんよ、初めて見る顔だ。」
「一体誰がこんな事を?」
「全くだよ、いい迷惑だ。」
そんな会話の途中で敷地内からスーツ姿の男が清瀬に話し掛けた。
「清瀬さん、それではもう少し詳しいお話を伺いたいので署までご同行頂けますか?」
話し振りから所轄の刑事だろう。
「うん?特に今話した事の他は無いが?」
「いや、もう少し突っ込んだ話をしたいので、ここでは何ですしご協力下さい。」
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