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「オーディン、聞いているのか?」
何度目か、名前を呼ばれてようやく我に返った。
「あぁ、すまないロキ。何の話だったか?」
オーディンは素直に眼前の男に謝った。
真向かいに座る男――ロキは溜め息をつき、頭を振った。
「アースガルドの主神にしてヴァルハラ宮の長が、俺のような下級神に頭を下げてどうする。だからお前は舐められるんだ」
「お前も長たる私にその言葉遣いはないだろうに」
苦笑するオーディンに向かってロキは軽く顔をしかめた。
オーディンの義兄弟であるロキは、いつも容赦無い言葉を浴びせる。
それ程に気安い存在であった。
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