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「林檎の管理者――イドゥンが消えた」
組んだ指をほぐしながら、ロキは深緑の瞳を伏せた。
「……らしいな」
オーディンの口から溜め息が洩れる。
神々に、老いる事無い永遠の命を与える、黄金の林檎。
その管理者たる女神イドゥンが連れ去られたのだ。
「お前の事だ。誰が犯人か分かっているんだろう?」
ロキは座したままオーディンに問掛けた。
犯人。
そう呼ぶが正しいかは定かではない。
しかし、分かりきった事ではあった。
アースガルドに仇なす輩。
大古より敵視し続けてきた相手―――
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