第一部

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「林檎の管理者――イドゥンが消えた」 組んだ指をほぐしながら、ロキは深緑の瞳を伏せた。 「……らしいな」 オーディンの口から溜め息が洩れる。 神々に、老いる事無い永遠の命を与える、黄金の林檎。 その管理者たる女神イドゥンが連れ去られたのだ。 「お前の事だ。誰が犯人か分かっているんだろう?」 ロキは座したままオーディンに問掛けた。 犯人。 そう呼ぶが正しいかは定かではない。 しかし、分かりきった事ではあった。 アースガルドに仇なす輩。 大古より敵視し続けてきた相手―――
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