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♪ピンポ~ン♪
静けさを破る音が部屋中に響いた。
「もうっ!無用心っ!鍵開いていたよ!」
『あいつ、鍵置いていったから』
「そう、」とだけ返事をすると、台所に立って何かを作りはじめた。一気に湯気や料理の匂いで、温かさから温もりに変わった。
「外凄い雪だよ!積もるよ!!楽しみだね♪」
無邪気な声でボーっとしていた頭がハッキリとしてきた。すると、次第に悲しみが支配した。
漠然とではなくハッキリとしたビジョンで支配した。
『……、……』
隣にひとけを感じ振り向く。
『ヒカリ…』
何も言わず、静かに座っていた。
『ご飯食べよう』
優しく耳に入り、体へ浸透していく声だった。
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