溶けた雪

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 雪にはしゃぐヒカリと買い物へ行き、夕飯の支度を始めた。「今日は、私の奢り」と言った。 「風邪ひかないようにね!」  湯上がりで頭を拭いていると準備しながらヒカリが言うが、その姿があいつと重なった。 『うん…』  テーブルにはキレイに鍋の材料が並べてあり、鍋はグツグツと煮えて食べ頃だった。 『お~、早く食べよう』  濡れたままの髪で食べようとすると、後ろに引っ張られた。 「本当に風邪引くんだから!さっき風邪引かないようにねって言ったでしょ!」  テーブルから少し離され、ドライヤーで乾かしてくれている。熱風と一緒にヒカリの香水が香ってきた。
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