第3話 気まぐれ

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「あー、食った食った、ごちになります」 フードファイター並みに食い散らかして、俺達はファミレスを出た。 パンパンになった腹を擦りながら食べた料理を反芻する。食い気に推されて『完熟トマトをつかった地中海風パスタ』を残して他のメニューを全て食った。 「よし、じゃあー、俺の買い物に付き合ってもらうぞ! まずは、本屋」 本屋はここから、二、三分歩いたところにある。近くに百貨店やレストランなどの大通りがあり、そこから少し逸れた場所。 しかし、和志はよくあんな大金払えたな。たしか12万5……まぁいいか。 やつの余裕は本物だったようだ。 「しっかし、お前は、いつも金いっぱい持ってんな、隠れてバイトでもしてるのか? 特に理由がなけらばバイト禁止だろ」 「いや、バイトはやってねーよ」 シレッと答える和志。「バイトは」と言うのだからなにか儲け話があるのだろう。 あわよくば便乗しようと考えてみたり。 「はぁーん? もしかして、人には言えない裏の仕事とか? とりあえず通報しとくな」 「迷いなく友達を売った」 「友達を売った? 違うだろ? 友達だからだろ?」 「それって…」 「そうさ、ちゃんと反省してこいよ。まってるぜ」 「って、サスペンスドラマのいい最後風に話しを進めるな! あー、もう、仕方ねーな! 教えてやる、あれだよ、株ってヤツ!」 遂に白状したのはいいが……株、どこぞのインテリヤローがやるやつか……。 「へぇー? 本当かぁ? そうなんだー」 「言ったら言ったで全然興味ないのな」 俺ん家パソコンないから株はムリだな……くそ、いい儲け話かと思ったのに。 なんやかんや会話をしている内に本屋の前にたどり着いていた。
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