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「おい! 早く決めて買えよ。つーか、普通は事前に買うもん決めておくだろ」
本屋に入ってから、かれこれ50分。
和志は漫画コーナーをさっきからぐるぐる回り、本を手に取っては置き、そして、別の本を取っては置きを繰り返している。
誠にうっとうしい。
「解ってねーなぁ、この本を選んでる時のなんとも言えない空気がいいんだよ」
「しらねぇよ。付き合わされてる身にもなれ」
「お前にわかり易く説明するとな、そう、例えばたくさんの美少女から好みの一人を選ぶような、解るか? 眼鏡、金髪、黒髪、ロリ、幼馴染、姉、妹、ツンデレ、ヤンデレ、二―ソ、黒タイツ、天然、寡黙、眼帯、元気っ子にボクッ子etc、みんな違ってみんな良い。簡単に選ぶなんてできるわけがない! わかるだろ?」
あー、うざい。クスリでもきめてハイにでもなっているのだろうか。自分の頭の中に広がる異空間を延々とふりまき始めた。
できるならこいつをコンクリート詰めにしてどこかの海の海底深くに沈めて欲しい、そうすれば公害の中の騒音の問題については解消されるだろう。
「戯言を垂れるのもその辺にしとかねぇと
パァァーンッ!!
それは突然、俺のセリフをかき消し鳴り響く破裂音。
運動会などでよく聞くピストル音とよく似たその音をあまりにも似つかわしくない場所で聞くことになろうとは。
日常から非日常に変わる警鐘の如く響いたその音。
「「きゃぁぁぁあああぁぁ"ーー!!!!」」
店内に居た客の数人が悲鳴をあげる。
女々しく甲高い叫び声に混じって、轟々と呻るような低く野太い声の悲鳴も聞こえる。
何が起こったのか、それは見るまでもなく。
2つの音が色濃く示す……。
ないにやら厄介事に巻き込まれたのかもしれない。
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