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「あー、なんとなく解った」
和志のこの軽い言い方はたぶんわかってない証拠なんだが、今はこれでいい。
「たぶん、あいつは拳銃以外の武器はないと思う、だから…あと1発」
ここは俺のただの勘なんだが……。
「こんのクソガキー!調子のってんじゃねー!」
騙されたことに気付き怒り狂ったように向かってくる。
気付くの遅いって……。
「この調子ならすんなり最後の弾使ってくれるかもな!」
よーし、もういっちょ、おちょくってみますか!
こういう時だけ無性にやる気が出る俺は変な人か? まぁいい、今はそれどころじゃない。
「……お、おい、ちょっと……見ろよ……」
和志は物影から強盗の方を見ている。
和志の顔に陰りが入っていることから事の重大さがわかる
「な……なんだと……反則だろ……」
なんと、強盗のやつ手榴弾を持ってやがる。
おーい、俺の勘は全然使い物にならねぇじゃねーかよ。
「くっくっく、お前らうぜーからこれでドカーンと死んでくれ! くっく!」
俺が自虐してる間にも強盗は変な笑い方をして興奮している。
そして、勢いよく手榴弾のピンを抜いた。
「やっ! やべーよ、ど、どうすんだよ」
和志は隣であたふたしている。
今のこいつは耳元に纏わり付く蝿よりもうっとく思える。
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