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「ん~。皇女らには、ど―やったら会えるのだろ―かぁ…。」
城の客室で肘をつき、手を頬に当てながらぼ―っと空を見る青年がいた。
この部屋では、二人の青年が午後の一時をくつろいでいた。
部屋の机で菓子を取り分けていた青年が、その誰に言ってるかわからん独り言に答えた。
「もっと大人な雰囲気を持てば良いのでは?」
窓際の青年が机の青年の方へぐりんと振り向く。
「こら菖韋(しょうい)っ!今、私のことを馬鹿にしなかったか!?」
「いえ、たとえ悠咏(ゆうえい)樣が女性に人気が無いとしても、私は悠咏樣が大人になるのを夢見ております。」
菖韋と呼ばれる青年は、取り分けた菓子を机に置き、今度はお茶を煎れ始めた。
「お前は私が子供っぽいと遠回しに言ってると思うんだが?」
「はい?何を仰いますか。
ただただ私は、大事な従兄弟の悠咏樣のお世話役として、今必要な言葉を述べただけであり、そんな失礼なこと言ってません。」
菖韋は煎れたお茶を悠咏と呼ばれる青年の前にコトンと出した。
もう何言っても切ない言葉だけを返してくる菖韋を見た悠咏は、反撃を諦めた。 「…もういいです。それより真面目なところ、どうすれば良い?どうしたら私らはは姫に会えるだろう?」
「そりゃまず後宮管轄の役所に届け出をし、王に許可を得なくては。」
菖韋は茶器を手にとる。
「でもでもっ!
この国で光家の次に名を並ばせる珪(けい)家だぞっ!?許しは出るだろう…。」
悠咏はじっと菖韋を見つめた。
菖韋はそれをそらすかのように、視線を菓子にずらした。
「まぁ無下に扱われないでしょう。
我が一族の式を国王に執り行って頂きたく、申込みに来たんですから。」
その答えに、悠咏は首をうなだれた。
「そ…そうなんだよな―。一族の当主が変わる儀を行って貰うために来たんだよなぁ…」
光影国では一族の族主交代の際に、国王へ挨拶をする。
そして国の中で、光家を除く、力を持つ四家は、族主の力を王に見せることになっているのだ。
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