珍客

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「今日こそ皇女らに会ってみせるぞ!!」 午後の日差しが強い時間。 城の廊下で意気込みながらスタスタ歩く悠咏がいた。 「お お待ち下さい悠咏樣っ!そっちは庭ですよ!?」 早足の悠咏を途中で見失い、探しにきた菖韋は、間違った場所へ爆進する悠咏を見つけて驚き呼び止めた。 菖韋の声に気付いた悠咏が振り向く。 「菖韋っ!どこで道草しとる!食べ物の匂いに誘われたか?」 「…あのですね―。私はそんな食いしん坊じゃ無いですよ!悠咏樣が一人でスタコラ歩いてったんです!」 「ん?」 悠咏は話を聞かずに、考え混んでいる。 菖韋は溜め息を一つした。 「さぁ 皇女樣付きの待女に皇女樣謁見の許可と、話を聞いてきましょう。 ま、たぶん教えてくれませんがね。」 「おおっ そうだったな!皇女と言えど女人。男からのプレゼントに心打たれるに違いない!!」 (はい?なぜいきなりプレゼントの話?…しかも確信あっての発言なのか…?) 悠咏の隣を歩く菖韋はひそかに思った。多分、悠咏はそう思い込んでいるのだろう。 菖韋はふと周りを見た。 「何か奥へ進むほど、人がいないと思いませんか?」 「え?…本当だ。皇女の住まう宮なのに、人がほとんどいないなんて、変だな。」 兵はいるが、皇女らの宮だというのに待女が見掛けられない。 「…人手不足か?」 悠咏は真面目な顔で言った。 「んな訳無いでしょう。 3年毎ずつやる女官試験は昨年行われ、たくさん女官が入ってるはずです。  2年目の今が働くのが楽しい時期のはずです。」 悠咏が、あぁそうか!と言わんばかりの顔になる。 「とにかく!皇女に会う前に、今なぜ人が少ないかを、何人かの女官に話を伺いましょうか。」 「うん。そうだな。」
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