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「はぁ~…」
春めいた広い城の廊下を、なにやら深刻な面持ちで歩く少女がいた。
彼女の名は光 朱華(こう しゅうか)。
この光影国・光ノ国の第一皇女である。
そして今年16歳になった朱華には同い年の妹がいる。
「き一っ!何で私が第一皇女なのよ一っ!!」
朱華は立ち止まり、肩から嘆きのオ一ラを放ちながら自分の足下に目を落とした。
「あ~朱華!こんなところにいたのね~。」
ふと聞きなれた声がしたので、朱華は顔を上げて声のした方を振り向いた。
そこには自分に微笑みながら歩いてくる少女の姿があった。
「ふぅ~探したのよ~?…朱華~」
「…風華。」
風華(ふうか)と呼ばれたこの少女。
国の第二皇女であり、朱華の同い年の妹である。
「どうしたの?一緒に勉強する約束すっぽかして…。どこへ行っていたの~?」
「叔母様の所へ私の今後について相談しに…」
「まぁー!お母様のところに相談ー!?なーんでまた…」
「…私は風華に王になってほしいのよ。」
「まぁ…朱華…。」
朱華と風華の母は双子の姉妹で
風華の母が『姉が嫁ぐなら私も行く!』と言い出したため、王である父の元へ二人仲良く一緒に嫁ぎ、同じ時に子を身籠り、また同じ部屋で、同じ時間に私達を産んだ。
という、まさに奇跡を越える『ミラクル』を起こした大物である。
誕生した娘二人は、同じ時間に生まれたので姉妹の区別がつかず、けっきょく第一皇女は姉の子供・朱華になったのだ。
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