珍客

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萠喜と風華が疑問に思った。 とりあえず萠喜はくるっと風華に向き合い、退室の礼をとった。 「では、少々お側を離れさせていただきます、風華様。」 「え、えぇ…。」  風華の声の様子に、萠喜は顔を伏せたままで、目線だけで風華をチラリと見た。 (あらあら…かなり動揺していらっしゃるわ…。) 風華の顔が青くなっている。  朱華が萠喜に頼み事をする時は、たいがいが風華の『おっとり改善作戦』への協力要請をする時だ。 もともと運動能力に自信がない風華。  姉の作る『おっとり改善作戦』は、並ならぬ体力を毎回必要とするため、命を削る思いをしなければならないので正直、辛い。  そのため、風華は予定通りに課題がクリアできず、更に追加される課題で、いっつも計画以上の汗を流さなければならなかった。  (ーー作戦要請の話だったら、諦めて頑張って下さいね…風華様…!) 心の中で祈ってから、萠喜は部屋を後にした。
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