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「失礼いたします。」
宮の中心にある上室に着いた萠喜は、部屋に入り深く一礼をした。
「あぁ萠喜、いきなり来たあげくに呼び出して悪かったわね。顔を上げてちょうだい」
朱華に言われ、萠喜は顔を上げてドド一ンと雷に打たれた気がした。
「しゅ…朱華様!なぜ後宮と同じ扱いのここに殿方がいるのですっ!?私は何も報告を受けておりませんよっ!!?」
萠喜が驚いた訳。
それは皇女らを含めた女官が住まう宮に、若い男性が二人もいたこと。
また、嫁入り前…どころか、恋愛問題ですら国が動きかねないはずの皇女が、
普通に椅子に座り
男性とあまり距離をとらずお茶
王族らしぃ服装をしていない
ということに、まず萠喜は眩暈を覚えた。
フラついた萠喜を、素早く一人の男が素早く抱き支えた。
「どどどどうしたの萠喜!?大丈夫っ?」
「えぇ、ありがとうございます朱華さ……」
ハッと目を空けた萠喜が見た物。それは朱華の顔ではなく、男の顔だった。
「ーーっ!!?きゃぁああぁっ一一!!!」
「えっ!?何!?萠喜っ!!?」
萠喜の叫びが響く。
初めて見る萠喜の動揺に驚く朱華をはじめ、男二人も一緒にうろたえた。
「何で殿方とご一緒なんですっ!?朱華様!!」
乱暴に男の手を振り払い、萠喜は半泣きで朱華に問いただした。
男二人は口をポカンとして、二人の様子を見ている。
「え…えー…と、この方達ね、この宮の入口廊下にいらして、女官に話を聞こうとしてたけど、
女官は皆彗結の講話に急いでて、話が出来なさそうだったから、つい声を掛けたの…。」
「…なるほど…。
それで私に話を聞いてもらおうと、ここへお二人をお連れしたのですね?」
朱華は頷き、萠喜は肩を震わして俯いた。
「朱華様…。私、唯一の苦手なモノが男性だと、確か以前に言ったはずなのですが…?」
朱華はハッとした。
確かに萠喜の男嫌いは聞いたことがある…。
「…今思い出した…ごめん。…」
「あぁもうっ!朱華様一一っ!!」
萠喜は、苦手なモノに触れられた怒りを、朱華に向けた。
そしてキッと男二人へ振り返り、挨拶の礼をとった。
「れ、礼もせずにお見苦しい所を見せたあげく、助けて頂きありがとうございます。
私は第二皇女直属女官。
また、王宮の女官を束ねる役目を任されております、女官・萠喜でございます。」
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