珍客

15/19
前へ
/36ページ
次へ
その時、室の扉が開いた。 「萠喜、朱華?入るわよ。」 入ってきたのは風華。 「あら風華。どうしたの?」 ((風華……?…まさか風貴姫っ!!?) 風花と聞き、慌てて珪の二人は、再び膝をつき礼をとる。 「うん。ついさっき、父様から文を頂いたの。」 さきほどの朱華のように、風華が文を出す。 『気になるなら赴くのが一番』 「「「(さ、さすが国王の『力』……。」」」 風華を除いた全員が同じことを思っていた。 「で、私達の話の輪に入れてほしくて来たのね?」 「えへへ、うん。 あれ?こちらのお二人は?」 萠喜が今まで事情を風華に話す。 そして朱華は萠喜を見た。 「まぁ今回は王の導きがあった出会い。段取りとかの礼儀な話は、後で王に文句を言いましょう。ね?」 「……。 仕方ありませんね。そう皇女に申されては、私は何も反抗できませんわ。」 (萠喜がいきなり甘くなったぞ…!?) 珪の二人は、皇女付き女官のあの噂が真実だったと知っのだった。 そして朱華にうながされ、また机に座った。 「風華は、このお二方の接触を許可しますか?」 「うん。だってもう会っちゃったし今更? 朱華だって許可したんでしょ?」 皇女らはそう言ってニコッと笑い合い、紙と筆を出して何か書き始めた。 そして数分後、 「萠喜、これを王と王家管轄の祭部に届けて。」 「かしこまりました。」 二人がしたためた文を萠喜は文箱にしまい、部屋を出ていった。 そして皇女らはまた悠咏らに向き直る。 「いきなり失礼しました。 今、許可書を提出しましたから、段取りとかのお咎めは萠喜からのだけで済むでしょう。 と言いますか、悪いのは王なのだから、こちらが謝るべきなのです。 申し訳ありません。」 「!!? いやいや皇女ともあろう方が、私共なんぞに頭を下げるなどーー」 「それでは王家だけが何やっても許されることになります!そんなの嫌ですっ。」 「うん、嫌です。」 「…………。」 その言葉に、悠咏と菖韋はポカンとした。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加