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だが見つかったのは
「風…華??」
さっきまで寝台で眠ってた人間が、いつの間にか自分の後ろにいた。
朱華は風華に近寄り、彼女の掌に乗る生き物を見て、驚いた。
「な、なな何であなたが小鳥を手に乗せ、ここにいるわけ!?」
「何でって…なんとなく目が覚めてあなたを探しに庭に出たら~、二羽の小鳥がぶつかって
落ちるのを見たの~。
で、朱華から離れた場所に落ちたこの小鳥を、私が受け止めただけの話よ?」
「き…気付かなかった…。
小鳥が落ちる二つの音を聞いてから、目を開けるところだったのね…。」
風華は掌の小鳥を見た。生きてはいるが、お腹辺りが血で赤くなっていた。
風華の顔が歪む。それを見た朱華が騒ぐ。
「大変っ!この子のくちばしで、ぶつかった時に切っちゃたのね。」
朱華が自分の手に乗る小鳥を見た。小鳥はぐったりしており、ケガはしていないようだが元気が無い。
朱華は風華の前に立ち、自分の手に乗る小鳥をそっと風華の手の中に預けて、目を閉じた。
風華は傷ついた小鳥二羽を柔らかく包みこむ。
「私達が傷を治すからね~。」
朱華は意識を集中させ、風に祈る。
――飛べるように…。
それと同時に、二人の周りに円を描いて草や木がざわめく。
風華は小鳥をそっと抱きこみ、言葉を紡ぐ。
「この子達の飛ぶ姿を願います…」
その瞬間、二羽の小鳥の身体が眩い光に包まれる。
風が光に吸い込まれてゆく。
そして光がすうっと消えた。
―ピィ ピピピピ
―ピチュ チュッ
二羽の小鳥が鳴く。ケガは消えていた。
「は~い。傷はなくなったから、また飛べるよ~」
風華はニッコリ笑って手にいる小鳥達に話しかけた。
朱華も元気になった二羽を見て安堵した。
「もぉ ぶつかり合うなんてドジしないでよねぇ?」
これが二人の力。
風華は光の力を使い、万物全てを守護する力を持つ。
今の力は守護の一つ、「癒し」の力を使ったのだ。
朱華はあらゆる尊き者達の力を自分に集め、それを力として放出することができる。
朱華が今したのは、飛ぶことを助ける風の力を借り、風華の力が効率よく働くように力を送ったのだ。
「朱華ありがとう~。
おかげさまで、力を使う量が少しで済んだわ。」
風華は穏やかな声で朱華に礼を述べた。
―ピチチッ!(ばささっ)
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