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風華の部屋へ二人は戻って来た。
小鳥達はだいぶ二人を気に入ったようで、今は窓枠にちょこんと座ってこちらを見ている。
風華は朱華が持ってきてくれたご飯を食べていた。朱華はお茶を入れている。
満足気に食事し終わった風華が、勉強机を見てから言った。
「そろそろ待女がやって来て、私達を勉強させるようと、迎えにくる頃ね~。」
お茶を運んできた、朱華はギョッとした。
何年か前、娘二人に自由時間を与えてくれた父・現王は、勉強量もバッチリ増やしてくれちゃったのだ。
「今日…何か宿題はあったかしら…?」
「ええ。光ノ国の伝説を覚えるっていう宿題が出されてるわよ~?」
「そうだったっけ!?わぁ~うっかりしてたっ!!私覚えて無いよ!」
朱華の顔がどんどん青くなる。
それを見た風華は、朱華の前にドサッと資料を置く。
「じゃあ待女達が来るまで、今から暗記しましょ~か~。」
風華が朱華に救いの手をさしのべたのだ。
朱華の泣きそうな顔が真剣な顔に変わった。
「よっし!頑張るわよっ!!で、風華は宿題やったの?」
朱華の入れたお茶を飲みながら資料を見ている風華を、ちらりと朱華は見た。
「ええ、毎日少しずつ覚えましたの~。多分、大丈夫ですわ~。」
(多分って…。毎日やってたのに完璧じゃないのか…?)
朱華は不思議に思った。
光影国には古から伝わる伝説が数種ある。
その中のうちの一つが「天人」の話。
この地に人が生まれ、たくさんの小規模な村しか無かった時代、土地を求めて人々は争っていた。
そんなある日。二つの村が、平和を夢見て一つになった。
いつも地上の醜い様子を天から見ていた「天人」達が、村の長だった二人に知恵を与える為、地上に降りて来た。
そるから争いはまたたく間におさまっていった。
二人の長を始め、多くの村人は「天人」達に感謝した。
平和になった村は、全ての村を、血を流さずに村に合流させ、ここに大きな国を作った。
それが光影国である。
ただ、国土が広いため、誰か一人が国を治めるのは困難だった。
そこで、二人の王を作って、お互いを補助し合うことになった。
太陽が昇る東側に光ノ国を、太陽が沈む西側に影ノ国を建国した。
天人達は、平和を願う生き物へと変わった人間達を、人を、愛した―。
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