お金

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 『はっ、こわくねぇし。』 とさとる君はいった。内心はこわかったが、いじをはってしまったのだ。  拾い始めてしばらくたつと、さとる君が  『もうそろそろやめようやぁ。いっつも部活帰りに会う、犬の散歩させよるおっさんくるよ。』 といった。するとつとむ君が  『あぁ、あの人ね…、たぶん今日散歩せん日ちゃん。』 といい、  『なんでそんなことわかるん。』  『だけん、こわいんならかえれや。』  『まぁ、こわくはねぇけど。』 またさとる君はいじをはってしまったのだ。  そんなことをあと三回ぐらいくりかえしていると、犬の散歩をしているおっさんがきた。だが、あの二人は気づかずに一生懸命拾っていた。  おっさんは二人に気づき、警察を呼んだ。  警察がきて、あっけなく二人はつかまった。正しくはつかまってないが説教はうけた。  親を呼ぶといわれたが、迫真の演技で親は死んどって二人で暮らしとる、っていったら許してくれた。それとなぜかおっさんにも説教をうけた。部活を聞かれ、野球部というと  『お金拾うよりボール拾え。』 とうまいのかうまくないのかよくわからないことを言っていた。まぁうまくないだろう。  日はすっかり暮れ、交番から帰りながら二人は話していた。  『やっぱあんとき帰っとったらばれんかったのに。』  『ほんまにそれ、なんでもっと強くいってくれんかったん。』 そこで、少し時がとまり  『…ゴメン、いじはってしもうた。』 とさとる君が正直にいうとつとむ君が  『まぁ終わったことやけんええけど、警察の人あんなんで普通許してくれるかぁ。』  『そうとうバカやろう、ぜったいあの人童貞で。』  『ぜったいそう。しょせんおれらといっしょよ。』 といつもの下ネタになった。そして二人の笑い声がさみしそうに暗闇にとけこんでいった。  おしまい。
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