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電撃によって辺りには煙が充満した。水鯨はそれを見ると刀をおさめた。煙は段々薄くなり、二人の姿を確認しようとした。だがそこに二人の姿はなかった。周りを見渡すと、向こうのガレキの陰に隠れていた。水鯨はまだ何が起こったのかわからない様だ。
ガレキの陰からガイを残し、カカシがスタスタと歩いてこちら側に向かって来た。水鯨は疑問を投げ掛けた。
『確実に当たったはずだった!!それにお前は俺の術を見切れなかった!!なのに何故‥‥‥。』
カカシは静かな口調で答えた。
『お前の術は俺が見せた幻影、つまりお前は俺の幻術にかかっていたのさ。それに‥‥‥お前の術を今度は見切れた。
‥‥‥俺はオビトの事をふっきれず、オビトに助けを求めていた。だが、俺には守るべきものが今(ここ)にいる!過去ばかりを振り返っていては、未来(さき)はいつまでたたって見えやしないんだ。』
(そうだろ‥‥オビト)
そう言うと、カカシは印を結んだ。
カカシの右手が青く光り、チチチチッという高音が辺りに響いた。
それを見た水鯨は、何故か不敵な微笑を見せていた。すると、ゆっくりと上に向かって指を指した。
何だ、とカカシは上を見上げる。戦っている大部屋の上には雷雲があり、今にも雷が鳴りそうだった。
水鯨は声を出して高笑いをし始めた。まさかと聞くと、
『終わりだ。俺はお前には勝てない‥‥‥だが負けもしない。このジェル目がけて空から雷が堕ちるだろう!!皆死に、大名も死ぬ!!』
そう言い終えると、また高笑いをした。雷が堕ちれば、ここにいる者だけではなく、この城に多大な被害が出るだろう。
カカシは発動している右手の"千鳥"で雷を防ぐ事を決断した。
それを見るや、水鯨はカカシに無理だと鼻で笑った。だが、カカシは本気だった。
(未来だ!未来を見るんだ!!そして‥‥‥大切なものを今度こそ守るんだっ!!)
その時、天空から一本の雷(いかずち)が忍ら目がけ堕ち、雷鳴を轟かせた。
それに向かって電光石火の如く、物凄い速さでそれに右手を振り抜いた。
『うぉぉぉぉ!!千鳥!!!!』
バチチチチッ!!!一本の雷は分散し、城の周辺の木々に堕ちた。その俄(にわ)かには信じられない光景に一人の忍はこう呟(つぶや)いた。
『"雷"を"切"りやがった‥‥‥』
その場にいた者、城の者は皆、その目を疑った。
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