第二章:その名の由来

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 それを見た水鯨は下から崩れ堕ちる様に、床に膝をついた。そしてこう言った。   『俺の‥‥‥負けだ。』   この瞬間、カカシ班の任務は完了‥‥‥のはずだった。     ある太った男がボウガンを水鯨に向かい射ったのだ。‥‥‥水の国の大名であった。射たれた忍はその男を見、こう叫んだ。     『このヤロー!!"また"しても‥‥‥俺のものを奪いやがった‥‥。』   そして倒れた。大名はざまあみろと言った顔をして仁王立ちしている。   そこに今まで倒れていた甲牙が水鯨の側に寄って来た。     『水鯨!!』   甲牙は大丈夫かと言ったふうに、名前を言った。カカシも右手を押さえながら寄って行った。水鯨は甲牙に  『悪かったな』   と言って、水鯨の膝に手を置いた。その言葉に今まで抑えていた感情が込み上げてきた甲牙は大名に向かって言い放った。   『何も殺さなずとも!!‥‥‥それにもとはと言えば、貴公が狙われるのは"あの事件"が原因ではなかろうか!!!!』     ‥‥‥?!あの事件!?カカシは前にも聞いたがそれには触れなかった。   だが、今戦った目の前の忍が、大名を狙うという重犯罪を犯すほどになってしまったのは何故か、カカシはそれを尋ねた。     『水の国では、水鯨の一族の術によって電気が国中に行き渡っておった。水鯨達はその報酬金で生計を立てていたんだが、ある出来事が起こった。それは一族の術よりも優れ、電気をより速く通す導線‥‥‥そのせいで水鯨の一族は職を半分以上失ったのだ。』     カカシは目を下に背(そむ)けてその話を聞いた。甲牙は話を続けた。   『一族を救うため、必死の修業の甲斐あって、水鯨は霧の忍刃七人衆になり、なんとか一族は最悪の事態はまぬがれたかのように見えた‥‥‥だが、そこで"あの事件"が起きた。   水の国の大名は水鯨達一族の抹消命令を指示したのだ。』   話の途中、水鯨の顔を見ると大粒の涙を流し、唇を噛み締めていた。     また、話は続く。   『一族は法によって、以前の仕事の半分以下だが仕事があったのだ。   だが人件費で予想以上の金がかかる一族よりも、導線の方が低コストで済む。   そして大名は水鯨の一族が導線に細工をして、各地を荒らし回っているなどと偽って、一族を滅ぼした‥‥‥その時に派遣された隊の中に某もいたのだ。   命令だったが、某は腑に落ちず、任務放棄をした。水鯨とともに‥‥‥。』
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