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そこには、一人の忍が死体をぶら下げ立っていた。よく見ると、ぶら下げられて死んでいるのは同じ襾班のイネだった。
そしてその横に立っている忍に目線をずらすと、その忍はなんとナガレであった。
これに動揺を隠せない様子のカカシだったがある事に気付く。イタチは至(いた)って冷静にこの状況を整理しているようだ。
更に、そのナガレの後ろから見覚えのある男が姿を現した。そう、その男はさっき殺したはずのあの"コウセキ"だった。
二人は目を疑い、側にある死体の顔をよく写真と照らし合わせると、その顔は何か不自然に感じた。その顔の周りを調べたら、整形されている事に気付いた。
『なるほど……そういう事だったのか、ナガレ。コウセキ。まんまと騙された……コイツは影武者。』
そう言ったカカシの顔からは、明らかに怒りの感情が立ち込めていた。
だがそこは暗部、そうした感情を見せてもどこか冷静で、自分の感情を制御(コントロール)している。
そして50もの忍の軍勢が襲いかかってきた。これに向かってイタチは"火遁・鳳仙火の術"で敵を散らした。それに合わせカカシは印を結び、
『土遁・罷岩飛龍(ひがんひりゅう)の術!!!!』
すると、カカシが立っている辺りの地面から岩が龍のような型で現れ、物凄い大きさであるが、それに似合わぬ速さで散らした敵の忍一人一人を倒していった。
50もの忍の軍勢がほんの瞬(まばた)きをしている間に地面に倒れていった。これにコウセキは弱気になり、ナガレは
(ば、化け物だ!!!!)
と畏怖(いふ)の念を抱く。
倒れた軍勢の中をカカシ、イタチは走って駆け抜け向かって来る。
これに完全に怖(お)じけ付いたコウセキは逃げようと後ろを向くと、そこには荒れ地が広がっていた。
『ナガレ!!これは!?……』
そう言い振り返ると、ナガレも同じ幻術にかかっていた。そして何処からかイタチの声が聞こえて来る。
『ナガレさん……貴方が裏切り者だという事には気付いていた。』
その言葉はナガレ、コウセキ、味方のカカシまでもを驚かした。
『貴方があの手裏剣を何故術も使わずに避けられたのか、それに何故写真を一度見ただけでコウセキだと言い切ったのか……それは貴方が岩隠れに肩入れしていたからだ。』
その声は不気味な程冷たかった。
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