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『スパイ行為は重罪に当たる行為だ……よって貴方を罰する、幻術・楊花千本の術!!』
前の戦闘であの影武者が使った術を、イタチはコピーした。
そして一言、
『貴方がぶら下げて掴んでいると思っているそれ、"コスモスの花"ですよ。』
とっさにナガレは手元に目をやると、今までイネだと思っていた死体がコスモスの花に変化した。
『な、何でこんな物を!!?』
そう言って、持っていた花を投げ捨てた。それを冷たい目で見続けながら言う。
『最初にコウセキだと貴方が我々に伝えた時に疑問に思い、念のため貴方の目を見たんですよ"この眼"でね。
そしてその疑問は確信に変わり、同時に幻術をかけた。その花びらをイネさんに見せるように。』
これを聞いていたカカシは思った。
(そこまでしていたとは……大した奴だ。)
イタチは言い終えると、チャクラを再び練った。
投げ捨てたコスモスの花は地面に落ち、花びらが辺りに散ると段々と量が増えていく。
やがてその数え切れない程の花びらは不規則に舞い踊った。二人の体を切り刻みながら……。
だがこれは幻術、実際の体には傷はなかった。
少し時間が過ち、術を受けた二人は崩れるように地面に倒れた。三日三晩は意識が戻る事はないであろう。
そしてイタチはクナイを取り出し、標的であった"つちやコウセキ"の首を斬り取り袋に入れると、残りの胴体を燃やした。
今度こそ任務終了だな、カカシはそう言い額当てを下げた。
そしてイネはどこにいるのか聞くと、
『その事なら御心配なく。影分身で人気(ひとけ)のない所に運んで応急処置をしましたから。』
二人は意識を失ったナガレの手足を縛って担(かつ)ぎ、イネのいる場所に行き、すぐに傷を負ったイネを連れて木の葉の里に戻った。
木の葉の里に着いた襾班は、二手に分かれる事にした。カカシはナガレを牢獄に入れに、イタチはイネを木の葉病院に連れに。
ナガレを牢獄に入れ終え、カカシは四代目に任務完了の報告に行った。
『四代目、今回の任務完了して参りました。』
それを聞くと四代目は、
『ご苦労だったねカカシ。報告書によると、どうやらナガレが岩隠れのスパイだったとあるが、僕の力不足だ……済まなかった。』
そして深く頭を下げた。
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