第四章:暗部~序章~

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 火の国───この国も他国と同様に、甚大な被害が出ていた。     今までは木の葉の忍から犠牲者が出ていたが、とうとう一般住人、非戦闘員からも出るようになってしまっている。     次第に大胆な行動をとるようになって来た近隣国の草隠れの忍が、この時代の傾向に便乗して、遂に火の国に忍を総動員させて攻め入って来た。      草隠れのおよそ600もの中忍以上の忍の大軍が、火の国の国境付近にまで進行しているとの報告が四代目に届いた。     『この大戦は何時(いつ)になったら終わるんだ……。』     そう頭を抱え、この事態に出来る手段は一つしか残されていなかった。     草隠れとの全面戦争という手段しか……     四代目は里に最高警戒体制を知らせ、中忍以上の忍を総動員、敵方の忍を全て倒す抹消令を出した。     非戦闘員は何人かの忍が付いて避難場所に身を隠す。      そして、特殊暗殺部隊全てが前線に向けられる事が会議で決まった。     そうした事が知らされ、騒がれていた頃、墓前(ぼぜん)で手を合わせている忍がいた。     (オビト、お前が死んだ後も戦(いくさ)、戦、戦で血は流れ続けているよ。 でもこの戦がそこに争いの無い幸せな世界がある事を、俺は信じているんだ……もしも生きていたら、また此処(ここ)に戻って来るよ、オビト)     すっと立ち上がり、呼ばれた場所に向かった。
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