第一章:オビト

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 『それは‥‥‥"アイツ"と今度会う時、私が"アイツ"より強くなった時に言うわ。』     そう言うと少女はあの二人が待っている峠に向かった。        その場に一人、オビトは立たずんでいた。     (‥‥‥お前が組織に入るなら俺も入る。そしてお前が悪に染まらないよう俺が見守っていく!!)     オビトはそう心に誓ったのだった。         『待たせてすみません。』      オビトは三人が待つ峠に遅れて来た。   角都は少し腹を立てていて、行く場所があると言って何処かへ行ってしまった。       しばらく何とも言えない雰囲気になった。が、ゼツが思い付いたようにオビトに尋ねた。     『そういえば名前聞いてなかったね。ソウダナ オマエ ナマエハ ナンダ?』     オビトは左目をつぶりながら、   『俺はオビト!』     次の瞬間、ゼツの拳がオビトの頬目がけて向かってきた。     『痛っ!!』     オビトは手を頬に当ててその場にうずくまった。     そしてゼツは気が悪そうに言った。     『オレハ ナンテ イイヤガッテ。 お前は今から自分の事を"ボク"とでも言え!!』     そう言われたオビトは   『ボ、ボク‥‥‥』     と渋々言った。     思い出したかのように、   『そうだ!名前だったよね。オマエノ ナマエハ タシカ ‥‥‥"トビ" ダッタヨナ?』     それにムッとしたオビトは、   『違うよっ!!ボクの名前は‥‥。』     ガツンッ‥‥またオビトの頬目がけてゼツの拳が飛んで来た。     またその場にうずくまり、頬をおさえた。     『ナゼ タメグチ ナンダ?ちゃんと目上の人には敬語を使うんだ!ワカッタカ?トビ!!』     ゼツは顔色は一切変えずに言ったが、明らかに怒っていた。     それにゼツはまたオビトの名前をトビと言う。   オビトはもう"それ"でいいやと思い、     『ボク"トビ"って言います!!コレからよろしくお願いします!』     そう言って頭を下げた。          今まで黙っていた少女だったが、トビに続いて   『私は"リン"と言います。よろしくお願いします。』    そう言って"トビ"、"リン"の二人は"暁"という組織に入ったのだった・・・           ──第一章:オビト 完
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